持続可能で豊かな未来の創造

私たちは、『持続可能で豊かな未来の創造』を重要課題ととらえ、『環境配慮型社会の実現』と『快適で豊かな社会の実現』の両方に取り組んでいます。地球環境に配慮しながらも、豊かで快適な生活を送ることができる社会の実現に向けて、事業活動を通じて社会に貢献し、持続的な成長を実現します。

環境配慮型社会の実現

私たちはこれまで、樹脂使用量の削減やバイオマス素材の活用などを通じて、環境にやさしい製品を多く普及させてきました。今後も、地球環境の保護と調和を大切にし、リサイクルしやすい単一素材(モノマテリアル)製品やCO2排出量を低減させる製品の開発に一層積極的に取り組みます。これらの取り組みを通じ、サーキュラーエコノミーを促進させることで、環境配慮型社会の実現を目指します。

資源循環性の高い製品の普及

サーキュラーエコノミーを促進させるためには、環境負荷の小さい方法で資源を循環させることが求められています。そこで重要となる要素は、製品自体を循環しやすい設計にすることです。

たとえば、従来のつめかえパウチは、様々な役割を持った複数の素材を貼り合わせて1枚のフィルムにしたものを使用しています。このパウチによって「つめかえ」という生活習慣が広まり、社会全体の樹脂使用量の削減に貢献してきました。

この、つめかえパウチの環境負荷を更に小さくするため、複合素材が持つ強度やバリア性という機能を備えつつも、ポリエチレンフィルムのみ(単一素材:モノマテリアル)でできたつめかえパウチを開発しました。現在、使用済みパウチを再びパウチへ再生させる水平リサイクルに向けて取り組んでいます。

循環しやすい設計を、つめかえの他にも様々な製品に展開し、使用済みプラスチックを資源として循環する社会を創るため、私たちはMONOSOLUTIONS®(※)ブランドでサーキュラーエコノミーに取り組みます。

※ MONOSOLUTIONS®はMONOMATERIAL(モノマテリアル)×SOLUTIONS(解決)とを掛け合わせ、モノマテリアルで社会課題を解決させることを考え立ち上げたZACROS独自のブランドです。

既存フィルム容器とMONOSOLUTIONS ® の違い

MONOSOLUTIONS ® のラインナップ

Flowpack®NT
サシェット
Flowpack®PT
Cubitainer
Cubitainer ®
Flowpack®SP
2022年度 実績2023年 実績2030年度 目標
資源循環性の高い包装材製品の売上比率
※医薬品用を除く
25.0%29.0%40.0%

CO2排出量を低減させる製品の普及

従来の製品に使用されていた石油由来素材の代替として、バイオマス素材やリサイクル素材等を活用した製品を積極的に採用しています。石油由来素材の製品と同等の性能を備えながら、CO2排出量の低減を可能とした製品によって、環境負荷の軽減を実現していきます。

またプラスチックボトルに比べてCO2排出量を大幅に減少させることができる 「つめかえ」容器も世界的には一般的とは言えません。私たちは「つめかえ」文化をグローバルに展開し、世界的なCO2排出量削減の実現に取り組みます。

通常のプラスチックとバイオマスプラスチックの違い

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ボトルからつめかえパウチに置き換えた場合のCO2排出量削減効果

環境対応つめかえ製品


つめかえパウチ>

改修されたペットボトル由来のリサイクル素材

環境対応つめかえ製品>

バイオマス原料を使用した粘着剤(バイオマスマーク取得)

バイオマス素材と粘着剤>

非食用米由来のバイオプラスチック「ライスレジン」を一部仕様した住宅向け養生シート

フジモリ産業 化成品事業>

2023年 実績 2030年度 目標
バイオマス素材/リサイクル素材
関連製品の開発
(2023~2030年度累計)
2件20件
つめかえパウチ
出荷量 2022年度比
83%150%
1回分のつめかえパウチから、より環境負荷の小さい複数回分(大容量)つめかえパウチへ需要が移行していることをうけ、2022年度比で出荷量は減少しています。より環境負荷の低減を図るため、「つめかえ」文化のグローバル展開を行うと共に、複数回分つめかえパウチへの移行も進めて参ります。

プラスチックの新しい価値の提供とサーキュラーエコノミーの実現

プラスチックは環境問題の一因として注目されていますが、私たちはプラスチックでしか提供できない価値があると考えています。そして、使われたプラスチック製品をゴミではなく資源としてとらえ、その循環を促進させることで、サーキュラーエコノミーの実現に貢献します。これを事業として取り組み、次の世代に誇れる未来をつくり続けることを目指します。

快適で豊かな社会の実

私たちは創造的で革新的な技術やサービスにより未来の可能性を拡げ、生活をより快適で効率的にし、社会全体の持続的な発展を促進します。また、健康で生き生きとした生活を送れる活力ある社会を実現し、人びとの暮らしをより快適で豊かにすることを目指しています

健康長寿社会の実現

ワクチンやバイオ医薬品の製造コストの低減

バイファスは、ワクチンやバイオ医薬品等の研究開発から製造工程まで使用可能な医薬品製造用シングルユース製品で、細かい部分まで設計できることが特徴です。また、シングルユースであることから、医薬品製造時にかかるタンク洗浄の手間や資源の浪費を削減することが可能となり、人手不足の解消や環境負荷の低減にも貢献できます。病気の一次予防(病気にならないようにすること)や未病(病気になる前の段階のこと)の予防に活用されるワクチンやバイオ医薬品の製造を下支えし、人びとの生活の質の向上に貢献します。

また、シングルユース部素材の海外依存率が高い現状を改善し、国内メーカーの高品質な製品を迅速かつ安定的に供給することで医薬・医療分野の発展に貢献することを目的として、パートナーシップ「J-STAC(シングルユース技術国産化共同体)」を形成しました。J-STACでは国産のシングルユース部素材の開発、安定供給を実現するための様々な事業を推進していきます。

再生医療の一般普及に向けた研究開発

バイオ医薬品や再生医療製品等の製造プロセスに使用されるバイファスの開発経験により、私たちは培養技術と装置設計のノウハウを培ってきました。この経験を活かし、再生医療を実用化するための細胞大量培養装置の研究開発を行っています。

医療現場のニーズへの対応

独自の技術により、バッグからの溶出を遮断し、薬の有効成分の吸着を防ぐことを実現した輸液用バッグです。これまでバッグ化が困難であった製剤の即時投与を可能にすることで、混合調剤作業を短縮し、救急医療現場のニーズに対応します。

また、この技術を応用し、在宅医療や医療のウェアラブル化を実現させるガラス容器に代わる超高防湿化フィルムを開発し、医療現場の支援と患者のQuality of Life向上を目指します。

T-TASは世界初の独自測定原理に基づく、血栓形成能を定量的に測定するための装置です。チップ内のマイクロ流路に生体分子を固着することで血管内を再現した環境で、血流下における血栓形成の様子を測定することができます。生理的条件に近い環境での全血検体を使用した測定により、これまでは不可能であった包括的な血栓形成能を測定することが可能となります。測定装置は操作性が高く、試薬とチップは調整等が不要で取り扱いが容易です。

T-TAS01
測定チップ

未病・予防、診断、治療、そして予後や介護に至るまでのトータルヘルスケア領域において、素材、デバイス、システム、キットなどの新しい技術により、健康長寿社会を実現することを目指します。

2022年度 実績2023年度 実績2030年度 目標
医療・ヘルスケア関連事業
の展開国数
0ヵ国 6ヵ国30ヵ国

スマート社会の実現

次世代電池の実用化と普及

私たちはリチウムイオン電池および次世代大型電池用の自立型電極「ZEF」を開発しました。ZEFは集電体を含まず活物質層のみで構成されたフィルム状電極で、密着機能を有し、集電体と貼合して使用することが可能です。このZEFを部材とした次世代電池の実用化と普及を通じて、スマート社会の実現を目指します。

ZEF

ZEF使用のイメージ

高速大容量通信システムの実用化

次世代通信システム「5G」時代の到来により、様々なデバイスはより速く、より多くの送受信ができるように進化しています。5Gに用いられる高周波数帯では電気信号の伝送喪失をいかに低減させるかが重要です。私たちは伝送特性の向上を実現した5G向け基板用接着剤付き銅箔で、次世代通信の未来に貢献します。

ZAC-LDC
2023年度 実績2030年度 目標
次世代型エネルギー・電子・通信関連事業売上高2022年度比82%300%

※世界的な半導体基板市場の低迷により2023年度の売上は伸びませんでしたが、同市場は中長期で拡大することを見込んでおり、引き続き増産体制の構築を継続してまいります。

快適な空間の創造

機能的で快適な住宅

住宅の省エネ化を推進するため、私たちの解析技術を活用し、室内温度の見える化から高効率な換気システムの提案を行います。また、換気システムで使われる製品は、自社工場でプレ加工することで、現場の施工省力化に貢献し、人手不足の解消にも繋げることができます。

室内温度の見える化
     

土木事業現場の問題解決

従来のトンネル掘削補助工法は、労力を必要とし、危険な作業環境でした。私たちは、このような状況を改善したいという思いで、ICT技術を活用し省力化、安全性向上を実現させ、トンネル掘削現場の環境を改善させることを可能としました。

主要販売資材であるトンネル補助工法、防水シート、ロックボルトの施工に必要な保有機器をICT化する事により、複雑な作業や管理を簡略化する事ができるだけでなく、得られたデータを共有し分析する事が可能となりました。今後もICT技術とアイデアで土木事業現場の問題解決に貢献していきます。

2022年度 実績2023年度 実績2030年度 目標
土木事業ICT機器の
活用件数
50件 80件 500件